原状回復工事について

オフィスの原状回復費用とは?
借主の対応範囲も解説

「オフィスを退去時、原状回復工事を求められているが、費用感がわからない。」
そのように困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
オフィスエリアの退去・引っ越しは過去に実績がなく、ご担当者がどのように進めたらよいか分からないと、当社にお問い合わせをいただくことも多くございます。
原状回復工事のポイントを抑えることで、適正な価格での工事依頼を行うことが可能になります。
本記事では、原状回復工事について概要をご説明した上で、費用が変動するポイントや借主の対応範囲を解説いたします。
原状回復工事の相場や業者選定にお困りの方、是非本記事を参考にしてみてください。

原状回復とは?

原状回復について国交省のガイドラインでは以下のように定義されています。

原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、 善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

参照元:国土交通省

「原状」とは「もとの状態」を意味していますが、賃貸借契約における賃借人原状回復義務は、必ずしも賃借人が借りる前の状態に戻すことを指すわけではなく、建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年劣化)や、賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)は賃借人に対しての原状回復義務はないとしています。

工事区分の違い

原状回復工事や内装工事の工事範囲や工事業者を決定するにあたり、工事区分をしっかりと理解していただくことをお勧めします。
工事内容や場所により、A工事・B工事・C工事の3種類に区分されており、それぞれ誰が工事業者を選定するのかや、費用負担者が異なります。

  A工事 B工事 C工事
対象工事 共有部分・建物の躯体がメイン 専有部分で建物全体に影響が及ぶもの 専有部分で建物全体に影響が及ばないもの
工事業者の指定 オーナー オーナー テナント
工事業者への発注(費用負担) オーナー テナント オーナー

対象工事

A工事とは、ビル全体の基礎や骨組み等の躯体部分、共有施設(エレベーター・共有トイレ)に関わる部分の工事がメインです。
B工事とは、借主側の要望により、入居後に専有部分に対してオーナーが設備を増設・移設した工事(空調設備・防災設備・防水設備等)が対象です。
対して、C工事はB工事と同様に専有部分ですが、建物全体に影響を及ぼさないインテリアや造作等の内装工事、インターネット配線工事等が含まれています。

工事業者の選定

A工事・B工事・C工事の区分で、どの工事業者を指定するかが異なります。
A工事とB工事は建物の躯体や全体に影響を及ぼすため、業者を指定するのはオーナーとなります。
C工事はテナント内の工事に限られるため、テナント側で業者を指定できるため、しっかりとした業者選びが必要となります。

工事業者への発注・費用負担

オーナーとテナントのどちらが業者に発注するかは、工事区分で異なります。
A工事は建物の躯体に関わるため、業者の指定と同様に発注・費用負担もオーナーとなります。
B工事の業者を指定する権限はオーナー側にありますが、発注・費用負担はテナント側でおこなう必要があります。C工事はテナント内の工事になるため、発注および費用負担は業者の指定と同様にテナント側がおこないます。
B工事業者にC工事をお願いする場合、業者選びの必要はありませんが、B工事業者への一括発注は割高になる傾向が多くあります。
テナント側で業者選定を行えるC工事に対しては、しっかりと業者を選び適正価格での発注を目指すことをお勧めいたします。

原状回復工事の相場とは?

原状回復工事の相場は一概にお伝えすることが難しいです。
というのも、周辺環境や造作、原状回復工事の範囲等により大きく費用が異なるためです。
例えば、原状回復工事を行うテナントと同ビル内に学習塾やクリニック等があった場合、開業している時間帯は機械を使った斫り等の音が出る工事ができないケースが多々あります。
その場合は、手作業で音が出ない方法での実施や、深夜時間帯のみでの作業等、周辺環境やテナント・オーナー側の要望をすり合わせながら、最適な方法をご提案しています。
方法により、工事期間が異なり自ずと原状回復工事の費用も異なります。

相場を確認されたいテナントの方、当社は無料でお見積を作成いたしますので、是非お気軽にご相談ください。

借主が対応するべき原状回復の範囲と代表例

テナントの原状回復範囲は、基本的には入居前の状態に戻すことが条件ですが、それだけではありません。退去時に借主側にどこまでの原状回復を求めているかは、入居時の賃貸借契約書や特約に記載されているため、ご確認いただくことが重要です。
物件によっては、居抜き物件で借りたのに、「スケルトン渡し」を指定している場合もあります。
契約書の見方が分からない等のお困り時には、当社へご相談ください。
グループ会社にはテナント様への賃貸を専門にした不動産会社がございますので、契約書内容・特約事項を確認しながら、工事範囲をご提案することが可能です。

<借主負担となるオフィス原状回復工事の代表例>
  • ・テナント内のパーティション撤去
  • ・カーペットの張替え
  • ・配線も含む照明や床下配線の撤去、清掃
  • ・窓・ブラインド・空調設備の回復、清掃 等

貸主が対応するべき原状回復の範囲と代表例

一般的な住居の場合、経年劣化や通常損耗は貸主側の負担となりますが、賃貸借契約内に原状回復特記事項の記載がある場合はこの限りではありません。
平成12年の東京高裁の判決では、「オフィスビルの原状回復工事の費用は賃借人の使用方法によって大きく異なり、損耗の状況によって相当な高額となる可能性がある」ことから、賃借人(借主)の負担とすることが相当とされています。
但し、共有施設の部分に関する工事は一般的に貸主負担となります。

<借主負担となるオフィス原状回復工事の代表例>
  • ・ビルなどの外装・外壁
  • ・共用通路・共用トイレの補修
  • ・排水設備、消防設備の点検・更新 等

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